こんにちは。マーケティング事業部のsimeと申します。
本はやっぱり紙が好き
デジタルの便利さは重々承知しているつもりですが、やっぱりなぜかアナログに惹かれてしまいます。
本にせよ、ゲームにせよ、音楽にしてもデータというのは、どうしても物足りなく感じるんです。考え方が古いのかもしれませんが。
とはいえこのご時世ですから、アナログじゃないとダメだなんてわがままも言ってられません。
実際、ゲームなんかは欲しいと思った瞬間に買えて、そのまま地続きで遊べるというメリットは大きいと思います。
パッケージ版を買おうと思うと、重い腰を上げて、着替えて、靴はいて、花粉舞い散る中、外出しないといけません。
さらにいうなら、買ったことで満足してしまい、ゲームソフトは放置ということも少なくありません。
その点、デジタルだと面倒くさい過程を一気に省略できるので、さすがにこの利便性は認めざるを得ません。
ましては音楽に至っては、CDとかもう思えば何年も買ってません。所有欲を満たすという意味では、CDよりもレコードがいいと考えて、ひと頃はレコードに手を出したりもしたものだけど、それもすぐやめました。
なぜなら買っても聴けないから。それに結構かさばるので置き場所にも困ります。
そんなわけで、やっぱりアナログはしんどい、デジタルが楽、という時代の趨勢は理解できます。理解どころか呑まれかけています。
ただし本だけは別。
電子書籍を否定するつもりはありませんが、データではなく紙で読んだほうが絶対にいい場合もあるんです。
前振りが長くなりましたが、デジタルでは味わえない読書体験ができる、というと少し大げさなんですが、まぁ要するに装丁がすばらしいので、デジタルよりアナログのがオススメですって漫画をご紹介します。
『報いは報い、罰は罰』森泉岳土/著
これ何がすごいって、表紙に触るとしっとりふかふかしてるんです。どういう紙を使って、どんな加工をしているのかわかりませんが、とにかくずっと触っていたい感触です。
書店で見かけて、なにげなく手に取った瞬間、共感は得られないと思うけど、枝豆だと思って手に取ったら青虫だった時以来の衝撃でした。
内容は古き良き時代の正統派ゴシックホラーなのかな。雰囲気重視であんまり怖くないので、怖いのが苦手な人でも安心。世界観に浸るという読み方が正解だと思います。
また絵も独特で、なんとこの漫画家さん、爪楊枝や割り箸で描いているんだとか。ざらっとした線が味わい深いです。
UMEZZ PERFECTION! シリーズ
これは大メジャーですね。楳図かずお先生のコレクションシリーズです。装丁がこれでもかってくらい凝りまくっているのが特徴で、旧単行本で持ってても思わず衝動買いしそうになります。
シリーズ全部で33巻ありまして、代表作と言われるものはすべて押さえています。どの作品も名作ぞろいではありますが、装丁的に特に気に入っているのが『おろち』(全4巻)と『わたしは真悟』(全6巻)ですかね。
表紙回りだけでなく、中身もページによって色を変えるなど、とにかく見事で見惚れてしまいます。金に糸目をつけず最高級のものを作ろうという気概が感じられます。
ただ、ひとつだけ欠点を挙げさせてもらうと、高いんですよね、単価が。それぞれ厚さにバラツキがあって、薄い巻でも1000円以上、極厚の巻だと4000円くらいしちゃうんです。大雑把な計算ですけど、全部集めると10万弱くらいですかね。
まぁ完成度を考えると、それくらいしちゃうのかなと納得はできるのだけど、それでも全巻揃えるのはキツい。
『アントロポセンの犬泥棒 』川勝徳重/著
これは結構最近出たやつです。でも、ある意味1番古臭く感じるかもしれません。
ページをめくると、ガロ系というかつげ義春っぽい感じで、なんだ昔の漫画かと思うかもしれません。しかし、読み進めてみると確かに現代の漫画だと感じるはずです。それも最先端なんじゃないかと…。
内容をひと口に説明するのは難しいですが、ハマる人はハマるんじゃないかと。そうでない人も、装丁は褒めると思います。
まず、本の判型が少年漫画と青年漫画の中間くらいという、ちょっと見かけないサイズ。そして、表紙の犬がインパクト大ですが、作者名やタイトルは全部シール貼ってるだけなんです。この無駄がすばらしい。一冊一冊、人がせっせと貼っていたとしたら、もっと素晴らしいんですけど、まぁ機械で貼るんでしょうね。
中身で使っている紙も、ザラ紙っぽいんですけど、実はこういう紙のほうが今だと高級だったりするんです。
貸本時代の漫画をイメージしているようですが、内容、装丁、紙質、すべてにおいて隙がない作りで感動しました。
『きのこ漫画名作選』飯沢耕太郎/編
今回の目玉!手塚治虫からはじまった漫画の歴史上、最も美しい装丁と言って過言ではない(少なくとも個人的には)。
「すべての”きのこ中毒者”へ」のアオリに嘘偽りなく、きのこがテーマの漫画だけを集めたという、かなり尖ったコンセプトだけど、尖っているのはコンセプトだけじゃありません。
金の箔押しにはじまり、紙やフォントなど、細部のデザインに至るまで、一切妥協のない本気の作りです。
触って、ページをめくって、匂いをかいで、重さを確かめて…、読むというより体験するといったほうがふさわしい一冊に仕上がっています。
この感覚は絶対に電子書籍では再現できないだろうと思います、というかそもそも電子書籍になっていませんでした。
収録されている作品もかなり豪華。萩尾望都、松本零士、つげ義春などレジェンド級の作家が並ぶ中、特にオススメしたいのが、白川まり奈先生の『侵略円盤キノコンガ』です。
長らく絶版だったこの話が読めるというだけでも、入手する価値は十分にあります。ちなみに『侵略円盤キノコンガ』(『どんづる円盤』併録)の単行本は微プレミアがついて4000円くらいなので、『きのこ漫画名作選』の定価3520円はお買い得だと思います。
2016年の発売当時、初版限定3000部だし、これは絶対にプレミアがつくに違いないと思い、大急ぎで買いに走りました。大きい書店をハシゴして実物を発見した時は感動しました。
その時は入手困難になる前に購入出来て、ホッとひと安心したものですが…、実は今でも定価で買えちゃうんです。なんかちょっと拍子抜けではありますが、プレミアがつくからいい本ってわけでもないし、まだ普通に買えるという事実をチャンスととらえるべきでしょう。たぶん、もう何年かしたら絶対にプレミアつく思うし…(プレミアにこだわるわけじゃありませんが)。
僕も保存用のもう1冊買おうかどうか迷っています。