こんにちは。五反田エリア店舗運営スタッフの『㊤』です。歴史小説ののちに、ファンタジー小説を読んでいる私です。
先日、『獣の奏者』という小説をご紹介させて頂きました。そのブログで少し触れていたSF小説も読破はしたのですが、うまく感想を言葉にできませんでした。
そこで今回は感想を述べやすい、過去に一度読んだことのある面白い作品をご紹介したいと思います♪
前回の『獣の奏者』に続き、今回は同じ著者による『鹿の王』という小説をご紹介しましょう。
この作品は、ファンタジー×医学×政治という、独特な軸を持った物語です!
さぁ、この物語はどのような構成なのでしょう。そして、どのような主人公が活躍するのでしょうか?
戦から始まる運命

まず登場するのが「独角」という、死をも恐れずに故郷を守る戦士団です。
彼らは飛鹿(ピュイカ)を乗りこなし、縦横無尽の機動力を誇り、物量で勝る敵軍を見事に撹乱するほど手強い抵抗を見せました。その戦士団の長が『ヴァン』です。
この独角という組織に属する戦士たちは、家族などの近しい人間をすでに失っており、「いつ死んでも惜しくない」という死兵の集団とのこと。
『ヴァン』自身も妻と息子を亡くしているため、喪失感を抱えた影のあるおっさん、というキャラクターです。
これほどの抵抗を見せた独角でしたが、圧倒的な物量を誇る大国・東乎瑠帝国の侵略には抗いきれず敗北。『ヴァン』は敗戦奴隷の身に落とされてしまいます。
岩塩鉱の襲撃と、幼子ユナとの出会い

敗戦奴隷となった『ヴァン』は、強制労働として岩塩鉱で働かされることになりますが、そこである事件が起こります。
物語のきっかけとなるのは、「ロチャイ」と呼ばれる、狼と山犬の交配種による岩塩鉱への襲撃です。
このロチャイは人を死に至らしめる毒を持っており、噛まれた者はその後、病を発症して死んでしまいます。
『ヴァン』も噛まれて病にかかってしまいますが、なんとその病を乗り越え、人間離れした力を得て復活します。
しかし、岩塩鉱で働いていた人々は皆、この病で命を落としてしまいました。
唯一生き残っていたのが、まだ赤子と言ってもいいくらいの幼子『ユナ』。『ヴァン』はこの子を引き取り、岩塩鉱を離れることになります。
幼子を引き取ったことで責任感が芽生え、それが『ヴァン』にとって新たに生きる活力となっていきます。
その後、これまで関わりのなかった他部族の集落で暮らすことになり、その部族を家族のように大切に思うようになります。幼子の『ユナ』も同じように、その部族を本当の家族のように思いながら育っていきます。
謎の病「黒狼熱」と、医術師ホッサルの使命

一方その頃、東乎瑠帝国が管理する岩塩鉱の事件を調査したことで、死因となったある病の存在が明らかになります。
それが「黒狼熱(ミッツァル)」という、かつて一つの文明を滅ぼしたほどの恐ろしい病原菌でした。
この黒狼熱によって祖国を追われた民が「オタワル人」と呼ばれる人々で、その中の医術師が『ホッサル』です。
オタワル人というのは、医療や建築など、高度な知識が求められる専門職に長けた種族。有能であるがゆえに他国から侵略されながらも、迫害されることなく国の中枢に食い込むような、優れた処世術を持つ知的な人々のようです。
その中でも『ホッサル』は高貴な家柄の医術師で、将来はオタワル医術全体を率いる存在になることを期待されている人物。
そんな『ホッサル』が、岩塩鉱で起きた黒狼熱の調査と、『ヴァン』の追跡に乗り出すことになります。
この二人が物語の軸になりますが、実は主人公は『ホッサル』なんです。
かつてオタワル人に壊滅的な被害をもたらした黒狼熱。その生きた病原菌に自ら触れながら、なんとかこの病を治療可能なものにしようと、治療薬の開発研究に『ホッサル』が臨みます。
二人の運命が交わる時

岩塩鉱の事件のあと、『ホッサル』の指示で『ヴァン』の捜索も行われますが、『ヴァン』は捜索の手をかいくぐりながら、他部族の人々と家族同然に暮らし続けています。
そんなある日、幼子の『ユナ』が何者かに攫われてしまいます。彼女を探し求めるうちに、『ヴァン』はある事実を知ることになります。
それは、この病を利用して東乎瑠帝国への反逆を企てている辺境部族が存在するということでした。
つまり、ロチャイによる岩塩鉱への襲撃は、偶然ではなく計画的なものだったのです。
その辺境部族による反逆と、病の蔓延を食い止めるべく行動を起こす『ホッサル』と『ヴァン』。そんな二人が、ついに出会うことになります。
不治の病とされる黒狼熱を、なんとか克服したいと願う『ホッサル』。そして、その不治の病から一度は回復した身体を持つ『ヴァン』。この二人が織りなす物語のハーモニーが、本作の見どころです。
読み応えのある、とても面白い作品でした。その後の展開が気になる方は、ぜひ書籍にて楽しんでみてください(笑)
では、また次回。




