こんにちは、システム開発チームのSasamiです。
奥深き「モキュメンタリ―」の世界
「疑似(mock)」と「ドキュメンタリー」を組み合わせたこの造語は、その名の通りフィクションをもとに作られるドキュメンタリー風の表現技法です。別名「フェイクドキュメンタリー」とも呼ばれ、低予算を逆手に取ってヒット作を生む可能性がある手法でもあります。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『REC』『パラノーマル・アクティビティ』などはこの手法を駆使し、一躍モキュメンタリ―ブームを巻き起こしました。
そんなモキュメンタリ―というジャンル、最近巷では『フェイクドキュメンタリー「Q」』という映像作品がカルト的人気を博しており、再び注目を集めているようです(主に私の中で)。
こちらはYouTubeの同チャンネルで無料配信されている日本の映像作品で、非常に上質なホラーモキュメンタリ―です。
ということで、今回はA~Z級までホラー好きで、もはや拗らせつつある私が趣味丸出しで国内のモキュメンタリ―ホラー作品を紹介します。なるべく直近のものに絞ったので、『フェイクドキュメンタリー「Q」』で興味が湧いた方は、ぜひお付き合いください。
『放送禁止』シリーズ
「この番組は当時放送が禁じられていたある”お蔵入りテープ”を発掘し、その当事者たちなどから了解を得て再編集したものである。」といったようなテロップから始まる、フェイクドキュメンタリーです。
フジテレビ系列で2003年~不定期に放送されたテレビドラマで、そこから派生して劇場版も何作か公開されています。
もうここで紹介している時点で最高にネタバレなのですが、作品の最後に「この番組はフィクションです」というテロップが入りますし、目を凝らして見れば明らかに狙った構図で映している箇所もあり、フェイクだと気付く人はすぐに気付きます。
しかし、放送時間は26~27時前後と深夜なので、なんとなくTVをつけたらやっていたからボーっと見ていた…、再放送かな?みたいな完全に前情報なしのリアルタイム勢の中には戦慄した人もいたかと思います。羨ましい限りです。
ただこの作品の真髄はそういったリアルだと思わせる恐怖ではなく、作中の随所に散りばめられた細かい伏線です。これはボーっと見てるだけでは気付きません。あくまでドキュメンタリーを装っているため、ヒントはくれるものの答え合わせはしてくれないので、その伏線を自ら解明していく楽しさがあります。
伏線を考察して再度視聴すると、さらにゾッと出来るので複数回観て楽しむことのできるシリーズです。
私はオリジナルのテレビ放送からだいぶあとになって観たい、友人に力説されて視聴したので前情報アリアリでした。そのため「いやいや…」「これはさすがに…」という部分が当時でも垣間見えましたが、作品を考察したり、伏線を解明したりといった時間は、謎解きのようでワクワクしました。
ぜひ記憶を消してもう一度観たい作品です。少し調べてみたところ、今だとFODで視聴可能なようです。
テレビ放送開始69年『このテープもってないですか?』
テレビ放送開始から69周年を記念して、今や保存されていない貴重な番組録画テープを視聴者から募集・発掘する当番組!当時の貴重映像をそっくりそのままお届け!当時を知る方も、全く知らないZ世代の方も、ぜひご覧ください。
という設定のフェイク番組です。2022年末にBSテレ東にて3夜連続で放送され、その後TVerにて配信されました。
突如の3夜連続、しかも年末の放送ということから、あたかも特番であるかのように装っているのが巧妙ですね。出演者も若手女優やアナウンサーなど、現実のまま起用しており、普通のTV番組となんら変わりありません。
何も知らずに一夜だけ観ると、出演者が淡々と当時の映像を見てその感想を言い合うという、いい意味でも悪い意味でも本当によくある普通の番組にしか見えません。時折不穏な映像が垣間見えますが気になりません。
メインは『坂谷一郎のミッドナイトパラダイス』という1980~1985年に生放送されていた(とされる架空の)映像のようです。回を重ねるにつれ、出演者たちの言動と映像の内容が徐々におかしくなっていき―――。
私はTVerで視聴したのですが、動画の紹介文も回を重ねるごとに支離滅裂になっていくといったニクい演出もありました(TVerの配信期間は終了したようです)。
この作品は「大森時生」氏によって制作されており、彼はほかにも同様のモキュメンタリ―映像や舞台のプロデュースなども手掛けている新進気鋭の若きTVディレクターです。
『この動画は再生できません』
お笑いコンビ「かが屋」の2人が、いわゆる『ほんとにあった!呪いのビデオ』的なスタッフとしてオカルトライターと編集マンに扮し、視聴者から投稿された心霊動画をミステリの観点から解き明かしていくといった新感覚ホラーです。
紹介しといてあれですが、この作品はモキュメンタリ―感が薄いです。確かに各話の前半は投稿された実録心霊映像(という体)で、そこだけ観ると完全モキュメンタリ―映像です。しかし、後半はその映像のトリックを解き明かしていくといった流れで、全体を含めると普通にドラマ仕立てです。
しかもお笑い芸人が主演ということもあってか、後半部分はコメディ色が強くなります。ただ、各話の映像のテイストやテーマがそれぞれ異なり、その解明(いわゆるネタバラシ)の仕方も違うので、全話通して心霊動画作成のレクチャー的な感覚で観れて面白いです。
そもそもモキュメンタリ―って、言ってしまえば作品全体を通した”やらせ”ですからね。
最終的に実はコメディ色が強い部分にも意味があり…といった内容で、ラストにもニクい仕掛けが施されています。
今夏に第2シーズンの制作も決定したそうなので、楽しみですね(なので観ましょう!)。
同作品はAmazon Primeで現在も視聴できるようです。
今回は国内のテレビ番組限定で紹介してみました。また機会があれば、今度は映画や海外作品にもフォーカスしていけたらと思います。
それでは!